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「せめて弱点さえわかればいいんだが」
納豆屋達は、仕方なく触手を弾きながら手段を考える。撤退も考えたが、真冬を残してこの場から逃げれない。それが全員の気持ちだった。
「弱点ならあるぜ?」
後ろからの声。これは間違いなくグロースの声だった。グロースの隣りには裁縫屋もいる。
「ごめん光にぃ、グロースが一緒に戦ってくれるって言うから拘束解いちゃった」
「でかした光美!!」
グロースが一歩ずつアブホースに近付く。また一歩。また一歩近付く。
「何をする気だグロース!!」
「グロースと呼ぶな、俺は仲間常夏【ナカマ トコナツ】。アブホースがいない今、もうグロースではない。だから奴の理想郷を作る意味などないんだ。俺は今ただの兄として、妹の為に戦う」
そう言った常夏は、アブホースの触手に捕まる。納豆屋が助けに向かおうとすると、常夏は、手の平を納豆屋に向ける。
「触手に捕まるのは、好都合だ」
「まさかお前、もとから口に飛び込むつもりだったのか?」
「ああ、全ての拒絶されることを奴の体内で受け入れれば、奴は内側から破裂する」
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