94人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
「納豆屋、最後にお前の名をきかせろ」
常夏がアブホースの口に入りそうな瞬間に納豆屋に問う。
「俺の名か? 俺の名は---貴だぁ!」
納豆屋は、大きな声で自らの名を常夏に届けた。常夏は、どこか満足げに笑う。
「いい名だな、冥土の土産にちょうどいいもんを聞かせて貰った」
そして、常夏はアブホースの口の中にすっぽりと納まる。その瞬間に、アブホースの体は散り散りに吹き飛んだ。
「常夏!!」
アブホースの体は、ボトリボトリと、建物内部に落ちるが、常夏の遺体と思われるものはそこになかった。
「全てが終わった……のか?」
磁石屋の質問に、十露盤屋は笑む。
「ああ、陶器屋に伝えないとな。お前も墓参りに来るか?」
「まあ、一応? そんなことより真冬を助けないとだ!! えっと、裁縫屋ちゃんこっちこっち!!」
「はい!! ただいま!!」
最初のコメントを投稿しよう!