対決1:一輪VS時間と~

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そこは闇。 周りのどこを見渡しても黒しか存在せず、本来ならば自分自身の存在すら視認出来ぬほどの世界。 そんな世界の中に、クロウはいた。 彼が彼自身を理解できたのは、まるで蛍のように淡い光が彼自身の身から放たれていたから。 全てが不明。 この世界も、この闇も、彼自身の光も、そもそもなぜ彼がこんな世界にいるのかも。 「……」 彼は声は出さず、静かに今の状況について考えた。 気づいたら、ここにいた。そうとしか言えない。 原因、きっかけ、全てが不明。 一体ここはどこなのか。いや、これは何なのか。 「クロウ?」 声。 彼は聞き覚えのあるその声に振り返ると、彼自身と同じように淡い光を放つレンの姿があった。 更に。 「これは一体何事ですか」 その後ろから2つの光、人の姿。 「……真っ暗」 背の高い女性と背の低い女性。 No.9とアンジェだ。 「……何で、お前たちまで」 クロウは少しばかり表情を硬くした。 絶対的な味方であるレンはともかく、この二人は違う。特に、No.9は。 だから彼は警戒をした。そんな時。 「よーやく皆様集まったみたいですね」 五つ目の声。女性のものらしき、声。 しかし、今度の声は今までとは違い、彼らの真上から聞こえてきた。 「どうも。メルルーア・スウィットです。自己紹介はいらない?そうですか。残念です」 その名前は、四人の誰もが知らぬ声。 つまり、敵か味方も不明瞭。 そんな声に対し、迂闊に返事をするような愚か者はこの四人の中にはいない。 「のー反応ですか。傷つきますね。まあいいです。説明しましょうか」 天からの声は勝手に話を続けた。 四人は黙って、話を聞く体制に入る。 「あなたたちは、ある条件を満たさないと、元の世界に帰れません」 ふざけた調子で、ふざけたことを天の声は言った。 「ある四人の人間と、戦っていただきます」 「……何で?」 疑問の声をあげたのは、アンジェ。 「そう言う決まりだからです」 「……ふざけてますね」 と、No.9。 その声色に怒りは感じられない。 感情のない、冷たい声。 「じゃ、戦いのルールを説明しましょう」 実に勝手極まりなく、メルルーアは話を続けていった。
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