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「オーナーは仕事と私生活のどっちに重点を置きたいのさ?」
律の独り言に、肩のバレッタが苦笑する。
「んー、いや。別にそこまで考えた発言でも無い」
「ならそれは、心の中だけで」
「冷たいなぁ」
「えへへ、自慢のボディはヒンヤリしてます!」
ビシッとピースサインを向けてくるバレッタに呆れながらも何やら騒がしい方向に律は足を向けた。
「で、事情を教えてください」
言いながら当人達の間に突然割り込む。
片方は柄の悪そうな女子高生。
もうスカートが凄く短いし髪は赤いし、的にでもなりたいのだろうか、と律は思いながら、もう片方を見て驚いた。
「赤坂 森太郎じゃないか」
「……あ、こんばんは」
律儀に挨拶するのは、フラットの数少ない常連客。
彼もまた高校生であるが、品性よさ気な出で立ちだ。
目つきだけが、怒りにギラギラと揺れている。
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