♭1

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「こ、こんばんはぁ」 頼りない言葉とともに桜色のワンピースを纏って佇むのは種型、ジュビジーのアネモネだ。 ちなみに、バレッタの格好も素体のままではない。 黒のTシャツに迷彩柄のズボン。軍人の様だ。 そんなわけで、四人(見方によっては二人だが、ここはこう言わせてもらう)でしばし今日の出来事を報告することに花を咲かせた。 とは言っても、律に話せるのは趣味の絵のことでも、好きな女性のタイプでもなく、昼飯に何を食べたかだけだった為に、案外早くも咲かせた花は閉じた。 話の種自体が少ないのもあるが、律の頭が再び睡魔に唆されていたり、ただの平凡な平日であったり。 何より、フラット全体に活気がないのが問題に思われた。 「そういえば」 そんな雰囲気に、ふと、種島が何かを思い出したように唇に人差し指を添えた。行動に反して表情は少し暗い。
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