プロローグ

10/13
前へ
/104ページ
次へ
「職員室?あんた入学早々悪いことしたの?」 ちょっと不機嫌になる智子。 「ちがうちがう!」 苦笑いして答えた。 「仕事のことでちょっとね…」 「仕事って昔からしてるあれ?」 「ああ…」 少し照れながら答える翔 智子が懐かしそうに問う。 「まだ続けてたんだね?」 「おう。一時期辞めようと思ったんだけどな。社長に止められて…」 翔達が言う仕事とは、俳優業のことである。 翔は中学に入ってから、あるキッカケで出会った社長からスカウトされこの業界に入った。 このことは智子と翔の家族、先生しか知らない。 なぜなら、大して名も売れているわけでもないのに、言うだけ損だと考えていたからだ。 大きな成果も出せないままだらだらと続けている自分が情け無いと。 正直、俳優業に対してあまり誇りをもっていないのも他人に言わない理由の一つである…。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加