プロローグ

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「…いや、何でもない。」 話をそらす翔 「何でもないって、翔…」 「ほんとに何でもないって!」 話の途中で自転車に乗る翔。 「まぁ、また話すわ!ぢゃあな!」 逃げるように自転車のペダルを勢い良く踏み込んだ。 話が中途半端な所で終わり、智子は不満そうな表情を浮かべながら翔を見ている。 翔はそんな智子の顔を見て、一瞬止まろうとしたものの、さらに自転車のスピードを上げた。 翔が何も言わなかった理由…… ……… それは… …誰一人として他人を信用してないからである。 そして、智子は仕事のことを知っているが、それは付き合っていた時に翔がたまたま口にしただけで、別れた後の詳しい仕事事情は智子も知らないのだった。 さらに、一から説明することを面倒だと思ったのも、話を中断させた理由の一つである。
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