14992人が本棚に入れています
本棚に追加
叶多は、自分だけのものにしたい程に私が好きで“そういう行為”を望んでいる。
私自身も、叶多だけのものになりたくてそれを望んでいる。
人にとっての初めては別に構える程の事ではないのかもしれない。心がそう望んだ時に自然と経験するものなのだと思う。
「うん。泊まる…」
「…由依、」
「叶多の部屋に泊めて?」
妄想族の私からは想像出来ない程にスムーズな回答が出来たと思う。
叶多の家に着いたのは深夜3時を過ぎた頃。まだ 薄暗い部屋の中に入った途端、心臓が大袈裟に活動を始めた。
何か、話をしたら緊張がなくなるかもしれないが、この状況で何の話をすればいいのかわからない。
ベッドに座る叶多と立ち尽くす私。
叶多が手招きをして、やっと足が動き出す。両手を優しく握り、やはり私は見つめられていた。
「由依子さん」
「は、はい!!」
最初のコメントを投稿しよう!