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愛想のない香織に優磨は屈することなく、その足を前に進め、丁度彼女の隣に立つと、同じように満開の桜を見つめた。
「桜…好き?」
少し香織の顔色を伺いながら話す優磨。
「…嫌い。」
少しの沈黙の後、ぼそりと香織が呟いた。
「嫌い…なの?
ずっと見てるから…好きなのかと思った…。
どうして…?こんなに綺麗なのに…。」
「……綺麗だから。
こんなに綺麗なのに…
あっという間に散るの。
まるで…人の…命みたい。」
まだ自分よりも小さな子どもなのに、何かを悟ったような香織の口調に、言葉に優磨は驚いた。
と、同時に香織の心には計り知れない闇があることを知った…。
…自分と同じように。
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