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あたしが施設に預けられた日は丁度、五歳の誕生日だった。 たった何週間前までは、楽しみで仕方なかったその日も、 もうあたしには何の意味もなく、ただ過ぎていく日々の中の一日。 全然…嬉しくなんかない。 その日あたしの歓迎会も兼ねた誕生日会が行われた。 周りの皆はきっと優しかったんだと思う。 けどあたしには、 両親を失った可哀想な女の子に対する同情だとしか思えなかった。 にこにこ笑いながら、あたしを 『心の病気』と言って病院につれていく施設の大人たちに心を開けなかった。 でも― 見つけたんだ―。 夢も希望も…笑顔さえも失ったあたしを救ってくれた… 太陽のように眩しく笑う… 優ちゃんと、 月のように優しく微笑む… 秀ちゃん…。
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