71人が本棚に入れています
本棚に追加
1、子供じゃない彼
「…先輩はこっち。」腕を引っ張られたかと思ったら、車道側を歩いてくれるリョーマ。
子ども子ども子どもって、…
先輩は最近そればっかりだ。
「やけにご機嫌っすね」
帰り道、もう聞いてくださいって程笑顔で隣を歩くマネージャーの先輩。俺が聞けば先輩は 待ってました と言わんばかり。
「それがさぁ、今日手塚くんに 最近可愛くなったな って言われちゃったの!」
もう幸せすぎるっ!なんてバカみたいに喜んでる先輩を見てたら腹がたってきた。
「先輩って部長のこと好きっすよねー」
「そりゃあ!手塚くんには大人の魅力って言うか…まぁ子どものリョーマにはまだ分からなくていいことなんだけどね!」
また、子ども。
先輩は俺がため息をついたことすら気付かないぐらい喜んでいる。
近くを車が走ってるなんて気付いてない。
「…先輩はこっち。」
俺は車道側にいる先輩の腕を引っ張って、場所を交換する。…だって車道側歩かせて事故るのも車が可哀想だしね。
「えっ、あ…ありがと」
先輩は我に返ったように俺を見る。
あぁ、…良い言い訳を思いついた。
そっと先輩にキスをする。
案の定驚く先輩に俺は小さく笑う。
「子どもなんで理性効かなかったっす」
まだ子どもなんで。
俺だって少しは大人になったんだよ?
- END -
最初のコメントを投稿しよう!