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4、ツンデレじゃない彼
「先輩、…好きっすわ。…先輩は?」不安そうな顔で見上げてくる、デレデレな財前。
友達以上恋人未満なんて、よう言うわ。
うちらの場合、お互い好き合うとるのに付き合っとらんアホな関係性や。
「なんでこの世に英語があんねん。日本人なんやから日本語で充分やろっ!」
「あ、それ近所の爺ちゃんも言ってはりましたわ」
「おいこら、年寄りと一緒にすな」
なんてくだらん会話でひとしきり笑う。財前は後輩のくせに生意気でツンデレやけど憎めへん愛おしい存在。
「財前ってモテるらしいなぁ。この前クラスの子に聞いて初めて知ったわぁ」
「先輩もそのうちの一人やないですか」
「恥ずかしいことぬかすな!どアホ!……………ジュース買い行ってくるわ!!!」
こいつはすぐ調子に乗る。
あぁ!もう!むっちゃ恥ずかしいやん!
立ち上がって財前の横を通り過ぎよ思ったら、急に腕を掴まれる。
財前は真剣な顔でうちを見つめてる。
「ざいぜっ…」
「先輩、…
俺、お茶でええっすわ」
「おまっ!一回殺すど!!!」
こんなやつに一瞬でもときめいたうちがバカだったわ。
「あっはははは……先輩、…好きっすわ。…先輩は?俺のことどう思ってますの?」
切れ長の目がうちを捉える。顔が真っ赤になってくのが自分でも分かる…。
…
「す、好きに決まっとるやん!アホ光!」
それだけ言って自販機に走る。
一人残された財前はクスクスと笑う。
「……先輩もとんだツンデレやわ」
- END -
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