第一部 美代子 Side

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先の事を考えて気持ち落ち込ませる美代子と七海。その二人を励ます意味で、真中はある事を提案した。 「じゃあさ、夏休みに皆で川にキャンプ行こうぜ。思い出いっぱい作りにさ!!」 自然に溢れる高見村という地を最大に活かした提案だった。 「それ良いかも!!」 「皆でキャンプきっと楽しいよう!!」 落ち込む二人に笑顔が戻る。つい先程まで暗く沈んでいた表情は一変し、先のイベントを想像して思いを膨らませ明るくなる。 (単純な二人だなぁ) 子供っぽいが、無邪気に喜ぶ二人を見て真中は思った。 学校では登校途中の三人とは別に、教室で先に待つ者が同じ内容を話し合っていた。 そこへ三人が登校する。各々が挨拶を済ませて自分の席に着席した。 そして真中から夏休みのイベントが告げられる。 「……ってことで、思い出作りにキャンプをしようと思うのだがどうだろう?」 「私は別にいいけど。」 真中の提案に余り興味を示さないが、特に反対する事もなく、一人の少女が賛成した。 彼女は渡辺桃代(ワタナベモモヨ) 常に表情の変化が無い事から、周りからよく「怒っているの?」と誤解されて言われる事がよくある。 けど、それは間違いで、桃代という人間の個性である。だから、キャンプの提案は周りが思っている以上に桃代自身は興味を示しているのだ。
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