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ー空野家ー
ガチャリ
「ただいま~」
風華は、丁寧に靴を並べた。
「おう!
怪人・カオルルルやっつけたのか?」
リビングでテレビを観ていた風雅は楽しそうに尋ねる。
「もう。
そんな事より宿題しなきゃ」
帰ってきて早々に、風華はランドセルを開いた。
「あ~。
作文か~。
『将来の夢』か。
作文なんて嫌いだ~」
ぶつぶつ文句をいいながらも、風雅はランドセルから作文用紙を取り出した。
「そもそも、風雅は勉強嫌いでしょ?」
リビングにある大きめのテーブルに、二人は仲良く肩を並べ座った。
「好きな奴、いるのか?」
ジトーッとしらけた顔をして風雅は言う。
「さぁ?」
風華は首を傾げた。
「『さぁ?』って、無責任だな~」
風華の反応に、風雅はため息をついた。
「ねぇ、風雅。
風雅は大人になったら、何になりたい?」
作文を書いている手を止めて、風華は風雅をジッと見つめた。
「そんなの、普通の大人だよ」
作文をかきながら、風雅は答える。
「普通?」
腕組みをして風華はしばし、考えた。
「家族がいて、わいわい騒いで、そこそこ幸せならそれでいい」
手を止めて、風雅は風華に行った。
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