Tantrum ball

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「おねえちゃん、助けてくれてありがとう。」 しんがりで支えて来た女児が傍で微笑んだ。 力無い笑みだが、瞳には微かな希望を見出したかのような光が浮かんでいた。 「まだ安心できないよ、船に乗るまでは。」 少女は赤黒い飛沫の付いた顔で笑みを返した。 150cmを少し越えた程度の少女が、戦闘服とプロテクターを付けて武器を携帯し、服や装備にも及んでいるあちこちの飛沫や染みはどう見ても血痕だ。 古いものから新しいものまで、一般的に考えれば異常な出で立ちは、少女が歩んできた環境を物語っている。 「あたしはイリーナ、おねえちゃんは?」 栗毛でオッドアイ(虹彩異色症)の少女は頭を撫でながら答えた。 「タンタン(Tantrum ball)」
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