Tantrum ball

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「派手にやったみたいだな。」 乗り込む子供の手を引きながら男が問いかけた。 「素直に渡しちゃくれないからさ。」 ヒョロリとした長身、色白で銀髪に近いブロンドの青年が肩を竦めた。 「気をつけろよ」 「なんなら、あんたも手伝ってくれてもいいんだよ、ミルチャ。」 飄々とした風貌の青年はヴラド・ミルチャ。 ルーマニア人で自称トランシルバニア貴族の末裔らしい。 主に運搬を専門とする運び屋だ。 乗り物は何でも来いらしいが、まだ船と車の操縦しか見たことがない。 「荒事は専門じゃないのさ。」 銀髪っぽいせいで老けて見える20代のミルチャは最後の子供を乗せ終えた。
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