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橋の中程にあるエマージェンシーエリアに差し掛かると、男はステアリングに付いたパドルでシフトダウンさせながらDBSを停車させた。
少し溜め息をつくと半身を捻り、リアの+2シートにある傷だらけになったレザーショルダーバッグをまさぐって鈍く光る銃を取り出す。
それを握って車を降りた男は、スライドが下がりエジェクションポートが開きっ放なしで弾切れを示す銃をジッと見詰めた。
あちこちに歴戦の傷を残すそれを持ち替えると、僅かに漂う硝煙の匂いを振り払うかの様に、道路端に設けられた遮音壁の遥か上方へ高く投げ上げる。
クルクルと舞って虚空から漆黒の海へと消えていくそれを少しだけ目で追った後、再びDBSに乗り込み野太い排気音を残して有明方面に走り去って行った。
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