恋文

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「でも!俺は遥さん好きですっ」 斎藤は目を丸くした。 「面白くて幸せを運んでくれるんじゃないかって……好きになった」 「諦めてくれ」 斎藤は遥の手首を掴んで自分の所に引き寄せた。 「俺のだ」 「お前っ!さっきそれは遥さんが決めることだって言ってたじゃねぇかよ!!」 乃木が大声で叫ぶ。 斎藤はため息をつき遥を見た。 「あいつがうるさいからどっちに行くか決めてくれ」 「斎藤さんです」 迷わずに言った。 それは揺るがない気持ちだから。 「餓鬼じゃないんだろ?だったら自分の意思で生きろ」 斎藤の言葉に、乃木は一瞬少年の幼い顔つきに戻った。 乃木は乱暴に目を擦ると、遥に向けて頭を下げた。 「遥さん、色々とすみませんでした」 「……乃木さんに似合ういい人がきっと見つかるはずだよ」 「はい!!……てめぇには謝らねぇからな、斎藤」 斎藤は乃木の頭を思い切り叩く。 「目上には敬語を使え!!」 「遥さん、良かったらまた一緒に出かけても……」 「もちろんです!!」 遥が嬉しそうに乃木に答えるから、斎藤は不安になって遥の袖を乃木に見えないように引っ張った。 「斎藤さんと私と乃木さんとですよ!」 「えぇ!?遥さんそりゃ無いですよ……」
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