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沖田に見られた可能性が高い。
否、確実に見られたはずだ。
「どうやって弁解しよう」
朝餉の用意が出来たようで広間に行くと、沖田の視線を感じた。
(やはりな……)
「斎藤さんて随分寝相が悪いんですね」
「昨日は少し疲れていたからな」
沖田はじっと斎藤を見つめた。
「不自然に思えてしまうほど寝相が悪かったです。起こすの止めちゃいましたよ」
遠回しに沖田は言ってくる。
耳に入った原田が話に加わり、話が大きくなってきた。
「何だよ、斎藤って案外寝相が悪いのか」
「腹を出しながら寝てる原田さんには言われたくないですね」
「どんな寝方してたの?」
一番聞いて欲しくない質問を藤堂がする。
「言うなよ」と斎藤は沖田に目で訴えると、沖田はにこりと笑った。
「遥ちゃんの隣で寝てたんだよ!」
「お前っ!?」
広間が静まり返った。
「え……つまり、遥ちゃんを一が……げほげほ」
永倉が料理を喉に詰まらせた。
「嘘八百だ!」
「私はこの目ではっきり見ましたから!あれは寝相が悪いだなんて思わない!故意ですよ」
その時飯籠を持った遥が広間に入ってくる。
「あの、私の顔に何かついてますか?」
「遥ちゃん、辛いはずなのにそんな笑顔振り撒いて……。健気だぁぁぁぁっ」
永倉は駆け出し遥をきつく抱き締めた。
「く……苦しい」
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