禁門の変

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「そんな噂が広まって、京から逃げ出す者が出始めている」 だから先程も荷車を押す人々がたくさんいた訳だ。 戦場になる京から逃げ出すために。 「新撰組はどうなるんですか?」 「戦が始まったとなったら戦うしかない」 京で戦が始まったとなったら、隊士達は戦に出ることになる。 遥は絶対に屯所から出るなと言われるはずだし、きっと何も出来ずに終わる。 「俺の実家に行くか?」 「行きません!私、戦います」 予想外の発言をしたので、土方の目が点になる。 そして涙を浮かべつつ笑いだした。 「笑わせるなよ。お前が戦に出て何するってんだよ」 「だから戦うって……。私にはこの紐がありますから守っていただかなくても!」 ミサンガを見せると、土方は眉間にシワを寄せる。 「駄目だ!お前は留守番だ!」 不機嫌になった土方は部屋を出て行ってしまった。 「遥ちゃん、副長は遥ちゃんを危険な目に合わせたくないんや」 「もういい、土方さんの夕餉のご飯は全部おこげにしてやる……」 「俺はおこげ好きやで」 悪気なく言ったつもりなのだが、きつく遥に睨まれる。 びくりとした山崎は黙りこんだ。 「いくらその紐をつけていて死ぬ事が無いと言っても、心配は心配なんやで?遥ちゃん偉いから分かるよなぁ?」 「今日の夕餉は山崎さんもいらっしゃいますよね?だったら土方さんと同じ、全部おこげですから!」 もう一度睨み付けて遥は部屋を出て行った。 「……だからおこげ好きやねんて」
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