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「三木、なんて顔してるんだ」
悔しさともどかしさと、色々な感情が入り交じった表情。
そんな顔を稽古に行こうとする斎藤に見られてしまった。
「眉間にシワを寄せるんじゃない。跡がつくぞ」
そう言われて斎藤に親指で眉間をぐりぐりされる。
「長州と京で戦になるんですよね?私は留守番なんて嫌です」
「副長に言われたのか。戦などお前が出る場ではない」
斎藤に言われるが納得がいかない。
「こんな私だって出来ること」
「三木っ!!」
斎藤が遥の言葉を遮る。
斎藤の表情は怖かった。
「三木、分かるよな?戦がどんな場所か」
「……」
分かってる。
言われなくても分かってる。
「それでも戦に行くと言うならば……」
斎藤は刀を部屋から持ってきて、遥の前で刀を抜いた。
「三木、いくらお前でも斬るぞ」
「脅してるんですか?」
「そうでもしないとお前は言うこと聞かないだろ?」
遥が黙りこんでいると、斎藤は優しく微笑んだ。
「三木には待ってて欲しい。待っててくれないか?」
「斎藤さんの………………馬鹿っ!!」
斎藤は目を丸くして立ち尽くし、立ち去る遥の背中を呆然と見ていた。
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