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「必要が無いんだったら、この戦で死なせてくれたっていいじゃないかっ!!」
沖田が叫ぶ様に言った。
土方は沖田の体調を見て、戦に出るなと言ってるのだろう。
だが戦えると思っている沖田にとって、戦に出るなとは必要が無いと言われるのと同じ事だった。
「沖田さん、待って下さい!」
遥は急いで下駄を履き、沖田の後を追いかけようとする。
「三木?」
騒ぎに気づいた斎藤が稽古を中断し、急いで駆けつけた。
「沖田さんっ!」
「三木、どこに行くんだ!?」
遥は斎藤の声など聞こえていない様で、屯所から出て行ってしまう。
(俺がきつく言ってしまったから?……じゃあ、総司は何だ?)
斎藤は刀を取りに行くと、遥と沖田の後を追った。
「沖田さん待って……あっ!」
遥は途中で転んでしまい、地面に顔面を強打してしまう。
顔は薄汚くなって、鼻にちくりと痛みが走ったと思ったら、鼻血が垂れてきた。
「待って……沖田さん……」
必死に追いかけるが、距離はなかなか縮まない。
「沖田さんに任務を与えます!留守番してる私を守って下さい、私を守るには強い方じゃないと駄目なんです」
沖田の足がぴたりと止まり、その肩は震えていた。
そしてゆっくり振り向き、こっちを向いて大声で笑い出した。
「あははははっ!遥ちゃんて面白いこと言うよね。強い私に守って欲しいなんて贅沢過ぎるよ?」
遥は走って沖田の側へ行き、沖田の右手を両手で包み込んだ。
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