禁門の変

7/22
前へ
/1079ページ
次へ
「必要が無いんだったら、この戦で死なせてくれたっていいじゃないかっ!!」 沖田が叫ぶ様に言った。 土方は沖田の体調を見て、戦に出るなと言ってるのだろう。 だが戦えると思っている沖田にとって、戦に出るなとは必要が無いと言われるのと同じ事だった。 「沖田さん、待って下さい!」 遥は急いで下駄を履き、沖田の後を追いかけようとする。 「三木?」 騒ぎに気づいた斎藤が稽古を中断し、急いで駆けつけた。 「沖田さんっ!」 「三木、どこに行くんだ!?」 遥は斎藤の声など聞こえていない様で、屯所から出て行ってしまう。 (俺がきつく言ってしまったから?……じゃあ、総司は何だ?) 斎藤は刀を取りに行くと、遥と沖田の後を追った。 「沖田さん待って……あっ!」 遥は途中で転んでしまい、地面に顔面を強打してしまう。 顔は薄汚くなって、鼻にちくりと痛みが走ったと思ったら、鼻血が垂れてきた。 「待って……沖田さん……」 必死に追いかけるが、距離はなかなか縮まない。 「沖田さんに任務を与えます!留守番してる私を守って下さい、私を守るには強い方じゃないと駄目なんです」 沖田の足がぴたりと止まり、その肩は震えていた。 そしてゆっくり振り向き、こっちを向いて大声で笑い出した。 「あははははっ!遥ちゃんて面白いこと言うよね。強い私に守って欲しいなんて贅沢過ぎるよ?」 遥は走って沖田の側へ行き、沖田の右手を両手で包み込んだ。
/1079ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3892人が本棚に入れています
本棚に追加