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「守って下さい、沖田さん。沖田さんにしか出来ないことです」
「私にしか出来ないってそんな大袈裟な……」
沖田が顔を真っ赤にしていると、誰かがこっちに向かって走ってきた。
「斎藤さんだ……あっ!さっき斎藤さんに馬鹿って言っちゃったんだ」
顔を真っ青にすると沖田はくすくすと笑い出す。
「何でそんなこと言ったの。それより鼻血どうにかしないの?」
沖田に言われて鼻の辺りに触れると、べったりと血が手についた。
「三木!……鼻血!?」
斎藤が袖から手拭いを出し遥に手渡す。
「急いで屯所を出るから追いかけてきた。俺が……色々と言ったせいかと思って」
「全然違います!」
そう言うと斎藤は不機嫌な顔をして、「腹が立つな」と呟いた。
「ねぇ、一君!」
呑気に沖田が斎藤に話かけると、更に斎藤は不機嫌な顔をする。
「大体お前は何なんだ!そんな嬉しそうな顔しやがって」
「歳上に対しての言葉使いが悪いよ、一君」
鼻血を垂らす女、嬉しそうな男と不機嫌な男。
周りから見たら不思議で理解が出来ない画だ。
「私が戦に出れないこと知ってるよね?」
「知ってるが……」
「その間、遥ちゃんを守ることになったんだ!遥ちゃんを守るには強い者じゃ駄目なんだって」
斎藤に力瘤を見せつける沖田。
「誰が言ってたんだ」
「遥ちゃんだけど……」
斎藤が遥を見ると、遥は微笑みながら頷いた。
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