禁門の変

9/22
前へ
/1079ページ
次へ
「総司、俺と決闘しろ!絶対俺が勝つ」 「遥ちゃんが決めたんだから文句言わないでよ。遥ちゃんは一君より私のほうが強いって思ってるんだから」 斎藤の顔が段々と真っ赤になっていくのを見て、遥は冷や汗をかく。 「いいから決闘しろ!今すぐにだ」 「嫌だよ。結果見え見えじゃん」 斎藤はにこにこ微笑む沖田に向かって刀をつき出した。 「斎藤さん、刀しまって下さい。決闘なんかしてほしくないです」 慌てて遥が止めるが、斎藤の勢いは収まらない。 「結果見え見えだと?絶対自分が勝つって言ってるのか!?」 沖田が斎藤を見て面白がっているので、遥は間に立った。 「土方さんに言い付けますよ!!」 そう言うと斎藤は刀を静かにしまった。 「納得がいかない」 「遥ちゃん、一君なんてほっといて帰ろう!」 沖田が遥の手を引いて歩き出すと、斎藤が小さく舌打ちした音が聞こえた。 (斎藤さんかなり怒ってる) なのに沖田は満面の笑みで、足取りも軽やかだ。 先程のことなんて無かったように思えてしまうほど。
/1079ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3892人が本棚に入れています
本棚に追加