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遥は筆と紙を土方から借りて、乃木に返事を書くことにした。
乃木新様
大切な方とは私の好いている方のことです
これからもずっと、決して揺るぐことのない気持ちです
私にとって乃木さんは大切な友達だと思っています
また楽しく話せたら嬉しいです
三木遥
「沖田さん、これでいいですか?」
書いた文を沖田に見せる。
「なんで私に聞くの。土方さんに聞いたほうがいいって……って、今居ないんだっけ」
そう言いつつも沖田は文をじっと見つめる。
「はっきり言っちゃうけど、達筆じゃないよね。しかも所々よくわからない」
「え!?」
文字の書き方が違うからしょうがないかもしれない。
これでは伝わらないからと沖田がきちんと書き直してくれた。
「ありがとうございます。でも乃木さん本当に私のことが好きなんですかね?勘違いだったら恥ずかしいです」
「……分からないけど。好きだったら嬉しいの?」
遥は眉を下げ、困った顔を沖田に向けた。
「私は斎藤さんが好きだから……」
「斎藤さんに聞かせてあげたいなぁ!きっと喜ぶよ!あ……でもその乃木さんの家は知らないんじゃ?」
「はい。でもこの文を門の所に置いとけばもしかしたら……」
遥は乃木がまた屯所へ来るのを信じて、門のはじっこに文を置いておいた。
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