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本当にどうすればいいんだろう……。
斎藤さんは江戸だし、この問題は自分で解決しないといけない。
私はこの気持ちは絶対に揺らがない。
今もこれからも斎藤さんが好きで、それはずっと変わらない。
「斎藤さん……」
しかしその声は斎藤に届くことはない。
乃木は遥から返事が来ているかもしれないと思い、屯所へ向かっていた。
門に文が置いてあるのに気づき、それを手に取る。
「……好いてる方だと?」
歯を食いしばりぎゅっと文を握りしめた。
(好いてる奴は誰だ……)
町人それとも……新撰組の人間。
「諦められるかっ」
好いてる奴がどんな者なのか、自分に勝っているのか。
それを確かめるまで諦めるものか。
「欲しい……俺は、遥さんが欲しい」
手に入れるまで引き下がらないつもりだった。
『好きではない』と言われたとしても、決して諦めないと。
乃木は文を握りしめ歩き出した。
「なっ……何あの人!独り言怖すぎるっ」
門の影で乃木をこっそり見ていたのは鉄之助だった。
「遥ちゃんを欲しいだなんて。そんなの得なんてしないよ……」
「それを遥ちゃんが聞いたら怒るよ」
鉄之助の頭に大きな手が乗った。
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