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数日後、遥は屯所の前を掃除していた。
あれから乃木からの文は一切来ていない。
斎藤さんも未だに江戸だ。
「はぁ……」
(ため息が止まらない……)
自分が返した文によって乃木を傷つけてしまったのだろうか。
また会いたいと言ってもらえたのに、あれから幾日経っただろうか。
ぼーっと地面を見つめながら掃いていると、誰かにぶつかってしまった。
「すみませっ……乃木……さん!?」
乃木は頭を下げた。
「こんにちは。……お暇ですか?」
「暇じゃないけど大丈夫です!!」
だったら……と、乃木は着いてきて欲しいと遥に告げる。
乃木に少し待ってもらい、ほうきを片付けて出かけることを伝えに行った。
「乃木さんがいらっしゃったので少し出てきます。すぐ戻ります!」
「いってらっしゃーい」
遥は屯所から出ようとしたが振り返る。
「山崎さん!着いて来ないで下さいねっ……あれ?」
今さっき山崎が「いってらっしゃーい」と遥に言ったはずだ。
なのに振り返ったら姿が無い。
(しょうがない……)
「乃木さん、お待たせしました」
「じゃあ行きましょうか」
乃木は軽く微笑むと歩き出す。
遥は慌てて乃木に着いて行った。
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