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何度乃木を呼んでも、乃木は遥に目もくれず通を歩き続ける。
「乃木さん、いい加減にしてください」
「自分の望みが叶わないのなら、俺は叶えるために何でもする」
遥は足を振り上げ、乃木の腹に一撃を食らわす。
「……うっ!!」
乃木はうずくまり、遥は地面に叩きつけられた。
のろのろしてちゃ駄目だ。
早く逃げないと……。
「待っ……」
乃木がふらつきながら立ち上がる。
遥は咄嗟に短刀を懐から出し、乃木に剣先を向ける。
「遥さん……俺はそうゆうつもりじゃ」
「じゃあ私を何処に連れて行こうと」
乃木は黙りこむ。
「諦められないんです……。どうしてもあなたを」
乃木の目から一筋の涙が流れた。
遥は短刀をしまってうつむいた。
「でも乃木さん、私は……」
「あなたが好きだ。その斎藤とゆう男が好きだとしても」
乃木は遥に近づき抱き締める。
その手は微かに震えていて、遥は悲しくなってしまった。
「遥さん……」
「えっ……!?」
目を閉じた乃木の顔が近づいてくる。
「おいっ!今すぐ離れろっ」
その時、後ろから怒鳴り声が響いた。
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