虫?

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 俺は小学校に上がる頃には絵本なんて読まなくなり次第に本を読む事より体を動かす事に快楽を覚え、小学校ではサッカー部に入った。中学校は家から最も近い学校に行き、そこはサッカー部がなかったからテニス部に入った。高校は少し遠いがこれまた最も近い高校に。部活はしない。ずっと部活だけ頑張っていたはずだった俺は高校になっていきなり部活動を一切しなくなった。運動だけが取り得で高校も県内最下位の男子校に、なんて馬鹿とは違い俺は成績は良かった。特に何もしていない、授業だけは休まず行った。それだけで成績は常にトップクラスだった。運動も出来て頭もいいなんてそんな奴有り得ないと思っていた俺には軽く混乱を覚えた。群がる男女が煩わしくて高校生の俺は無口になった。高校にも部活はあったのだが静かに一人でいることの方が好きな事に気づき、人が群がる場所を避けた。  昼休み位寝かせろよ、と煩かった教室を抜け出し昼飯のパン3つとパックの牛乳を持って人の居ない場所を探して廻った。屋上にはカップルがいるし、校庭は暑い。丁度いい場所を見つけたのは教室から歩いて5分程度の場所、最上階の一番隅の部屋。図書室だった。  図書委員なんてモノも無く誰も使わなくなった図書室。鍵は壊れて閉まらないし電球も所々切れてる。カーテンを全開にしたら部屋の電気なんていらない位明るかったし、換気の為その大きな窓も全開にした。古びた紙の臭いが立ち込める部屋の真ん中に椅子を置き、もそりとパンを食べ始める。    いい物件だ…。  開け放った窓から校庭で遊ぶ奴らの声が遠くに聞こえる。最上階のこの部屋は風通しがいいらしく少し太陽に暖められた風が入る。のんびりとした空間に時間も忘れてゆっくりと昼飯を食べ終え、背もたれに体重を掛けて本来の目的通り寝ることにした。
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