幼女と研究員

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「いやあ、かわいいな」  「私」はにこにこ笑いながら私を眺めていた。少々気持ち悪いと思ったが私も同じ状況だったらこうなるだろう。携帯AがBと同じであるように「私」は私なのだから。 「あ、そうだ」  「私」が何かを思い出したように手を叩き、一枚の紙とペンを私に差し出した。 「レポートか?」と私が聞くと、「私」は頷いた。 「君は私だから話が早いね。当たり前か。ははは」  私に言ったってその言葉もひとりごとみたいなものだぞ。心の中で呟くと「私」もそれに気がついたのか話すのを止めた。 「身体の動作は異常なし。ただ体が小さくなったためか周りが大きく見える。幼じの、視、点での、けい験は珍しいので、こ、の、きお…… これ、なんてよむんだっけ?」  かきおえたれぽーとをよんでいるとなぜかよめないじがありました。「わたし」はさっきよりももっとにやにやしています。 「ふふ、読めないの? 大学の準教授がそんな漢字を」 「よ、よめるよ! わたしはきょうじゅさんなんだから!」  「わたし」がわたしをばかにしたのでもういちどれぽーとをよもうとしましたがやっぱりよめません。
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