幼女と研究員

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「あ、あの人は、えっと…… お父さんじゃなくて、お父さんのお兄ちゃん」  私がそう言うと藤田は「ふうん」と、興味があるのかないのかはっきりしない声をあげた。  そうこうしてる間に一階へ着いた。 「君はこれからどうするの? 迷子になっちゃったわけじゃないよね。歳の割にしっかりしてそうだし」  エレベーターの扉が開いたとき、藤田が振り返って私に尋ねた。  迷子じゃなくて幼女になっちゃっいました。そう言いたくなるのをこらえて、口から出そうになったその言葉をなんとか飲み込んだ。 「伯父さんに『ジュースが飲みたい』って言ったら一階に行くように言われました」 「本当? なら俺と同じだね。一緒に行こうか」  藤田が微笑みながら言うのを聞いて、私はあることを思いついた。
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