第一章

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家に着くと、ピリッと辛いカレーの匂いがしてきた。 「…ただいま。」 「おかえり、遅かったわね。」 優しく微笑んだ母さん。 優しく微笑む母さんは 昔と変わらないな、と思った。 「…今日の夕飯は、カレー?」 「そうよ。…悠馬、小さい頃好きだったじゃない?」 「うん、まぁ…。」 捻くれてる俺でさえ、産みの親、育ての親には優しくなる。 「父さん、いつ帰ってくるんだろうな。」 「…いつだろうね。」 母さんは、父さんの話になるといつも俺には曖昧な答えしかくれないんだ。
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