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「行くなと言われた霊園へ行ってしまった。それだけだ」  パンと水を喉に流し込み、クルスは溜め息交じりに答える。するとクルスは「へえ」とだけ口にすると、こちらへと顔を近付けてきた。その目には、好奇の色がべったりと塗りたくられていて……。 「なあクルス、一体何を見たんだ? ちぃっと、教えてくれねえか?」 「えっ!?」  驚いたように、クルスは反応した。 「いや俺、実はあそこがどんな風になっているとか結構気になっててさ。なに、俺は色んな奴と付き合ってるから、それなりに口は固え。誰にも言わねえよ。な? 少しだけで良いから」 「だ、だからって、でも……」  ここで、クルスは思案する。  あの事を話して良いのだろうか? あれが教会の極秘事項である事は火を見るよりも明らかだし、ばらしたら最後、知ったアキラも言った自分も、等しくそれなりの罰を受けるだろう。  それに、彼は自分と同じ、黒天使討伐という志を持った親友だ。あの事実を知り、ショックを受けるのは目に見えている。  けど、それ以上に、アキラは陽気だ。きっとこれを知ってしまっても、何か良い事を言ってくれるかもしれない。悩みを分かってくれるかもしれない。なぜなら、親友なのだから。  ――話をするくらいなら、彼になら別に大丈夫だろう。クルスはゆっくりと、重い口を開く。
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