終焉の刻―とき―

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 アキラが咆哮を上げた。  口の辺りにまで太い血管が走り、四肢が次第に太くなっていく。  突然、アキラの身を包み込んでいたコートが破れ、羽化するかの如く翼が生えた。身体は一回り二回りも大きくなり、気付いた時には、クルスの倍近くにまで巨大化していく。  顔は鬼のような形相のままで白く凝り固まり、額を突き破るようにして現れたのは、猛禽類の巨大な頭部。腰からも長い雄羽が生え、その様は、さながら白い鳥人間のようだった。 「アキラ……」  呆然とした様子で、クルスは変わり果てた友を見上げる。  そいつの手には、かつての相棒が持っていたのと同じ十字槍。純白に染まり、刃や石突がさらにまがまがしくなっている。  もはや彼は、人間を捨てたのも同義だった。 「さア、覚悟しろや。クルス! てめえら全員、俺が始末してやるぞ!!」  大槍を携えたアキラの更なる咆哮が、内部全域に広がっていった。  ◆◆◆  その一部始終は、大聖堂前の広場にいた反天連合やクルセイダー達も見ていた。  アンドルフの映した映像が、リアルタイムで魔導車の表面に映されていたのだ。
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