クルセイダー

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 クルスが黒天使との戦いを続ける一方、アキラは村民の誘導を続けていた。  何とか彼等を落ち着かせると、司教は教会に隠された仕掛けを作動させる。  すると教会横に置かれていた、巨漢すら動かす事が困難そうな天使の石像が、ゆっくりと動き始めた。その裏にあったのは、地下のシェルターへと通じる階段。 「よし、さあ入れ入れ」  アキラの指示に従い、村人達は自然と列を成して入っていく。これで司教を含む全員が入れば、もう安心だ。後は教会周囲の安全確認か、出来ればクルスの援護をするだけなのだから。  そう安堵していた――次の瞬間だった。  教会の屋根からまた、何かが衝突したような音が聞こえて来たのだ。アキラの位置からでは認識出来ないが、まだ避難中の村人達の間で動揺が広がっていく。  誰かが叫んだ。 「ね、ネロ・アンジェロだあああああぁーっ!」  静まったはずの恐怖が、また村人全体に伝播した。アキラはその声がした方向へと駆ける。そして、言葉を失った。  教会の屋根の上に、そいつは立っていた。さっきのとは別の黒天使だ。異常に嘴が肥大化したカラスのような頭をしている。  しかし、そんなのはどうでもよかった。その黒天使は、アキラが激怒するには十分すぎる事をしていたのだ。
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