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「――? アキラ!?」
崩れ落ちた樽山の近くに着地したクルスは、向こうから激昂した様子のアキラがやって来た事に気が付いた。いや、自分が屋根から飛び降りようとした際に、何かが樽に衝突した気はしたが。
「クルスか? なあに、別の黒天使がいやがったんだよ。しかもそいつ、俺達の十字架をへし折りやがった!」
「何だと!? ――村人は無事なのか?」
「またパニクっちまったが、それはなんとかなってる」
「……そうか」
アキラの答えに、クルスは内心ほっと胸を撫で下ろす。
そんな二人の目の前で、満身創痍な二体の黒天使が樽山から這い出してきた。
再度改めて、クルスとアキラは各々の武器を握り締める。目の前の脅威はまだ潰えてはいない。早急に倒さねば、村はまた恐怖に苛まれてしまう。
二人は武器を構え、眼前より迫る敵を完全に葬り去るべく、必殺の呪文を叫んだ。
「我、聖天使の御名において、汝等を断罪する。その命を以って、これを贖罪せよ」
叫び終わるや否や、クレイモア全体が神々しい閃光を放ち、十字槍全体が不死鳥の如く燃え盛った。
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