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外界との交流が隔絶された毎日が続く。
その日も、入口に警備の兵士が立っている状態で、自分の部屋に食料が運び出されてきた。ベッドに座っていたクルスが顔を上げると、思わぬ人物がそこにいる事に気付く。
「よお、クルス。面会しに来てやったぜ」
粗末な料理を盆の上に乗せたクルセイダーの少年の姿に、クルスは目を丸くした。
「アキラ!? なんでこんな所に?」
「なぁに、お前が謹慎処分になったって聞いたんで、様子を見に来ただけさ。食料運びの係を使ってな」
ほいよ、と渡された盆を膝に乗せ、クルスは皿の上のパンをかじる。黴が生えているほど酷くはないが、硬くかさかさと渇いた生地には、悲しい程に味が無い。牛乳が欲しい所だが、生憎、盆の上には水しか無かった。まあ、セントアンジェロの牢獄にいる囚人は、これよりさらに酷い飯を食わされているのだろうけど。
「しっかし驚いたぜ。いつも真面目なお前が謹慎処分とか、一体どういう事なんだい!? まあ、無事そうで何よりなんだけどさ」
いつの間にか自分の隣に座っていたいたアキラが、陽気にこちらへ語りかけた。
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