セントアンジェロシティ

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 そうこうしているうちに、彼等は目的地である、南東の尖塔の前に到着した。  美術館からも離れた位置より連絡橋を通して入る事の出来るその尖塔は、他の宮殿に存在する尖塔と比べても、どこか異様な雰囲気を醸し出していた。  彼等の知る限りでは、教会騎士の中でも高位の人物や、教皇庁に敵対する者達を駆逐する『とある組織』の者達が見張りとして利用しているらしいが、クルスは実際に見てないので分からない。アキラはその『組織』と交遊関係が何人かあるらしいが。  通路から入口を通ろうとすると、甲冑を着た教会騎士の姿が扉の手前にあるのを認めた。おそらく単なる門番だろう。  アキラがその人物に声を掛ける。軽く交渉する事ほんの数秒、騎士は二人に頭を下げると、快く通行を許可した。案外たやすかった。  中に入ると、永遠と続きそうな螺旋階段が、天高く伸びていた。休憩を挟めそうな部屋など全く無い。階段だけで構成された、純粋な一本道となっていた。  特に登頂を急ぐ理由も無いので、二人は談笑を交えながら階段を登っていく。
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