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凄まじい数の黒天使が、まるで堤防より溢れ出す濁流のように、城壁を撃ち破って現れたのだ。
安穏だったセントアンジェロの町が一変、悲鳴と混乱に包まれていく。
「馬鹿な!? さっきまでは平原には何も無かったはずだぞ! なんでこんな事に」
眼前の光景が理解できず、思わず柵に寄り掛かって叫ぶクルス。間もなく、黒天使による第三波により、また伏せる事を余儀なくされる。
「クルス! まずはあいつをどうにかするしかねえぞ!! くそっ、早く降りて来いや!!!」
しかし、アキラが叫ぶのも虚しく、その黒天使は嘲笑うかの如く天を舞うのみ。
「……仕方ない」
するとクルスは首から下げた十字架を引っつかみ、それを天高く放り投げた。
「クロスアーツ、我に力を!」
「おいちょっと待てまさか……」
十字架はクルスの叫びを聞くと、盛大に閃光を放ち巨大化。十字架を模した巨大な剣、クレイモアへとその姿を変貌させ、クルスの両手に握られた。
「ああ、そのまさかさ」
クルスはそう言い捨てると、真上の黒天使をキッと見据える。そして尖塔の頂上より高く跳躍し、
――黒天使と共に落下した。
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