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クルスに向かって叫んでいたアキラの元へも、黒天使の影は迫っていた。
「うお!?」
突然、上方より無数の火球が襲い掛かり、アキラは思わず怯んだ。近くにいた騎士が火炎に包まれ、広場は炎の海となる。その元凶は、アキラのほぼ目の前で浮かんでいた。
「何しやがんだ、この野郎! 聖堂が燃えたらどうするんだ!!」
アキラの怒声が、黒天使にまで轟く。炎を吐いた張本人である髑髏頭の黒天使は、血色の眼でアキラを睨むと、次の瞬間、片手を振り上げてこちらに急降下してきた。
ほんのスレスレの所で、かろうじて回避するアキラ。一方の黒天使は、ゆっくりと立ち上がって体制を立て直すと、外した獲物を再度捕らえるべく、アキラをまた睨みつける。
だがこれは、アキラにとっては都合の良い事だった。
「聖堂に背を向けるとは、てめえの目的は象徴じゃなくて俺か。なら、助かったぜ。好きなだけ相手してやる」
アキラは十字槍を構えて駆け、力の限り振り下ろす。途端、片手の爪のみでそれは防がれた。十字の刃はたやすく払われてしまう。
しかし、アキラの攻撃はそれだけでは終わらない。
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