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アキラが気付いた時には既に遅く、その黒天使は背後から覆いかぶさってきた。
固い地面に倒されるアキラ。そんな彼の耳元から、悍ましい息遣いが聞こえて来る。アキラは直感した。――こいつ、俺を食べようとしてやがる! と。
「ざけんな。さっさと離れやがれ」
渾身の力でもがき、なんとか黒天使の拘束を振り払う。急いで立ち上がり、槍を掴んで立ち上がると、そこにはトカゲのような外見をした黒天使がいた。
正直、こんな奴に構う気など、アキラには全く無い。今は聖堂へと逃げ込んだあの黒天使を、追跡する方が先決だった。
しかし、このトカゲの黒天使は、アキラよりも素早く起き上がると、アキラ目掛けて勢いよく飛び掛かって来たのだ。
「邪魔すんのか、コラ!」
数多の命を喰らったであろう無数の歯が、アキラの眼前に並ぶ。だが次の瞬間、その口は真上へと向けられた。
真下からによる十字槍の振り上げが、黒天使の下顎を直撃したのだ。さらに空いた鳩尾へと、アキラは石突を叩き込む。怯んだその身体を蹴っ飛ばし、アキラは聖堂へと駆けた。
「てめえには、俺は用はねえんだよ」
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