異端審問局の修道女

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 あれから、さらに数日が過ぎた。教皇庁からの命を受けたクルスはセントアンジェロを離れ、とある村の酒場にいた。  情報が正しければ、この村を南下した先に『英霊会』の拠点がある。任務の内容こそ単なる調査ではあるものの、司教や他の人達の話を聞く限り、どう考えても奴らは黒だ。悍ましき怪物が今でもそこで生まれ、またあのような悲劇が何度も起こるであろうという噂が事実ならば、これはなんとしても防がなければならぬ。クルスの胸は、終始高鳴っていた。  しかし、ここで一つ、クルスには腑に落ちない点があった。それは共に任務を行う仲間である。なんと、アキラではないのだ。  アキラは『英霊会』に関する別の任務の為、クルスとは異なる場所へと行っていた。そのため、代わりの人物がクルスと共に行く事になったのである。  異端審問官カミラ。  聖天使教会に仇なす存在の一切を駆逐する、教会騎士とは異なる教皇庁直属の組織『異端審問局』に所属するクルセイダー、それが彼女だ。  しかし、正直な所、クルスは彼女が苦手だった。
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