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別に異端審問局そのものの性格として、クルスは彼女が苦手な訳ではない。アキラが彼等と交遊関係が深いというのもあってか、クルスも彼等と共に黒天使討伐に行く事も多く、異端審問局との付き合いには慣れている。
それに、聖天使教会に敵対する者全てを、時には異教徒あるいは異民族という理由だけで、情け容赦無く虐殺するという凶暴性が気に入らないからという訳でもない。なぜなら異教徒や異民族は、人々を惑わす邪(よこしま)な教えや世界を征服せんという誇大妄想に取り付かれていると教えられていたので、そんな者達が彼等によって駆逐されてるのであるならば、別に構わないとさえ思っていたからだ。
では何故、クルスはカミラが苦手なのか。それは異端審問局としてではなく、彼女個人としての性格にあった。それは――
「あら、クルスちゃん。ほっぺにクリームがついてるわよ。……はい、取れました」
そう言って、カミラは嫌がるクルスの頬を指先で撫で、付着したクリームを舌先で舐めとった。
――そう、クルスを異常に子供扱いするのである。
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