異端審問局の修道女

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「貴様、いい加減にしろ! それ以上俺にくっつくな!!」  不快感を露(あらわ)にして、クルスは怒鳴る。しかし、カミラは依然として微笑んだままだ。 「あら、どうして怒ってるの? クルスちゃん。お姉さん、親切にクリーム取ってあげただけなんだけどなあ」  そう言ってカミラは、修道衣の切れ目から漏れた白く細長い脚をカウンターの椅子に乗せると、背中を反らして顔と胸元をクルスに近付けた。少年の顔全体に、大胆に開けた襟元から飛び出さんばかりの巨大な双丘が迫る。 「あの時泣いてた頃からずっと、クルスちゃんはカリカリし過ぎよ。そんな怖い顔してないで、お姉さんの胸の中で大人しくしてなさ――」 「誰がするかあっ!!」  頭を掴まれ、危うく窒息される所まで密着してきたカミラを、クルスは何とか突き飛ばして難を逃れた。「きゃん!?」と仔犬のような悲鳴を上げ、カミラは酒場の床に投げ出される。 「いったぁーい。んもう、レディにはおイタしちゃだめって、司教様から教わらなかったあ?」 「人の顔に胸押し付けて窒息させるレディがどこにいるか!」  顔を真っ赤に染めてまたもや怒鳴り、クルスはカウンターへと向き直った。
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