362人が本棚に入れています
本棚に追加
/252ページ
――いつもこの調子だ。クルスは心中で毒づき、カウンターに置かれた紅茶に口を付ける。
「んもう、そんな事言わないでよお、クルスちゃん」
立ち上がったカミラがまたもや懲りずに、クルスの隣にくっついてきた。修道帽から溢れ出す長い金髪を揺らし、まだ少女の域が抜け切れてない端整な顔をクルスへと近付け、彼の飲んでいた紅茶を横取りする。
「ちょっといただき。って、ちょっとお、何この紅茶甘すぎじゃない? 砂糖何杯入れたの?」
「それがどうした。いいからくっつくな!」
「えぇー!? いいから教えてよぉー!」
あらゆる意味で拒むクルス。しかし、それでもなおカミラは、肩を組んでまで接近して問い詰めて来る。顔から目を背けようにも、視線を逸らした先には冒涜的なまでに露出した胸や脚があるものだから、本当に質が悪い。
「……八杯」
渋々クルスが答えると、カミラは「えぇー!!?」と大声で叫び出し、
「いくらなんでもそれは入れすぎだよお。虫歯とかになっちゃってない? もう、本当にお子ちゃまなんだからあ」
ついには顔を両手で押さえ付け、口の中を見ようとする始末。ついにクルスは、堪忍袋の緒が切れた。
「もう寄って来るなカミラ! いい加減にどこかにすっこんでろ!!」
最初のコメントを投稿しよう!