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「ですがって、他に、何か理由でもあるのか?」
そのソフィの答えに、クルスは半ば食らい付くように反応した。
「俺としては、君の村はなんとしてでも、聖天使教会の一員になって欲しいんだ。俺の村は聖天使教会に入って無かったばかりに、黒天使から身を守る術が無くて滅んでしまった。この村も、同じような目に遭って欲しくはないんだ」
まだセントアンジェロでの忌まわしい記憶が拭い切れてないからか、クルスは強い口調で言い放った。
テーブルでは相も変わらず、酒のリズムに乗った笑い声が響き渡っている。
しかし、それでもなおソフィは、曇ったままの表情だった。
「理由といいますか、そのような事ならば、私ではなくて、村の長に言ったらどうでしょうか」
凄く真面目な答えが返ってきた。熱くなりすぎていた自分が、思わず恥ずかしくなってくる。
ソフィの話は続く。そして今までのよりも、比較的はっきりとした口調で彼女はこう言った。
「それに、そのような理由で私達を誘うのであるならば、別にこちらは大丈夫なので結構です。なぜならば――」
次の瞬間、クルスは背後から人の気配を感じた。
「なあに、二人っきりで色々話しちゃってるのお?」
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