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◆◆◆
狂乱の夜は過ぎていく――。
あの直後、突然カミラは糸が切れたかのように爆睡し、それに釣られて村人達もバタバタと横になってしまった。
自分の胸を先ず触らせようとした瞬間に起きた出来事だったから助かった。あれで爆睡せずに続いていたら、あの先どのような出来事が起こっていたのか想像するだけでも恐ろしい。無事に解放されてよかったと、クルスは胸を撫で下ろした。
その後、夜の静けさを取り戻した酒場の中で、クルスとソフィはたった二人で荒れ放題の屋内を清掃した。酒場の二階は宿を兼ねていたので、クルスは村人達(とカミラ)を全員、各々の個室へと運んでいった。一方のソフィは、床のモップ掛けやカウンターの雑巾掛け等を行った。
その間、二人にはあまり会話は無かった。大事な話をした直後にあんな出来事があったのだ。あの後ずっと気まずい空気が流れ続け、とても話をする雰囲気にはなれなかったのである。
そして、全ての作業が終了し二人も眠れるようになれたのは、ほぼ夜明け前の出来事だった。
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