異端審問局の修道女

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 夜中の大騒ぎを知らぬ太陽が、天高くから村を見下ろしている。  時刻は正午。クルスとカミラは慌ただしい様子で、酒場の出入口にいた。 「もぉーぅクルスちゃん、いつまで寝てたのお? いくらなんでも寝過ぎよお! 本当にお寝坊さんなお子ちゃまなんだからあ」 「誰のせいだと思ってる!!」  任務の予定では、所詮一介の中継点に過ぎぬこんな村落など、早朝から退散するつもりだった。しかし、案の定というかなんというか、クルスが昼まで寝過ごしてしまい、こんな時間帯まで遅れてしまったのである。  起きて早々、店の真ん前で喧嘩をする男女を見ながら、ソフィは少しだけ寂しさを滲ませた笑みを浮かべていた。  ――聖天使教会の事だが、その件に関しては、また改めてこの村にやって来てから話をしよう。今俺は、それとは全く別の理由で、この地にやって来ている。だから、それが終わったら、いずれ――  掃除が終わったあの時、クルスはそう言って、一時的ではあるが、大切な話に纏まりをつけた。 「また、来て下さいね」  目前でいがみ合う二人へと、ソフィは言葉を送った。これには二人も喧嘩をやめ、それぞれ「ああ」「ええ」と返事をした。
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