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かつての門番と同じく刃を携え衣を纏った守備兵の集団が、瞬く間にクルス達の視界一杯に広がった。
内塀を越えた先にあったここは、ただ回廊らしき通路で何もない空間を囲んだだけの広場。そしてその広場の向こう側に、最深部の母屋へと通じるであろう第二の階段があった。それを数で遮るかのように、兵士達が集まっている。
「怪しい奴、何者だ!」
兵士の一人が叫んだ。その様子を見る限り、ただ調査と答えた所で、納得してくれそうな雰囲気ではない。今にも自分達を捕まえて、侵入者として容赦なく呵責を与えんとする勢いだ。
「やはり、こうなるか」
クルスは一歩前に出て、胸元の十字架に手をかける。いくら相手の実力が不明とはいえ、戦う事になるのは想定済みだ。ためらう事なく、十字架を外して勢いよく――
「ちょっと待って」
ここで、それをカミラが制した。
「相手が多すぎるわ、クルスちゃん。ここは数に強い、お姉ちゃんに任せなさい」
そして、自分の谷間に挟まっている十字架を外すと、勢いよく投げて呪文を唱えた。
「クロスアーツ、我に力をっ!」
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