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カミラの十字架が白銀に閃き、次第に武器へと形を変える――十字の短い左右が伸び、まるで蔓のように十字架の先端へと巻き付いていく。
光が収まり、十字架が再びカミラの右手に戻った時、それは鞭へと姿を変えていた。
彼女はそれを振り下ろす。数多の罪人に苦痛を与え、数多の猛獣を屈服せしめた、甲高い破裂音が響き渡る。
「私達は何者でもないよお! さあ、かかって来なさい!!」
衛兵に答えた次の瞬間、カミラの強いひと振りが、敵の群集を薙ぎ払った。
右から大きく一回、左から大きく一回、そして一回転してからさらに大きく右から一回。たったそれだけの動作が、無限大に伸長する鞭を凶暴な大蛇の群れへと変貌させる。そいつらは何度も激しくのたうちまわり、敵陣を鞭打で蹂躙した。
あっという間の出来事。クルスの目の前には、まるでハエ叩きにやられた小虫のように、倒れる兵士が広がっていた。
しかし、そんな彼女の実力に驚いてる暇もなく、別の兵士が上層と下層から沸いて来る。
「むう、人間ならこれ見たら普通、戦う気が無くなっちゃうはずなんだけどなあ。仕方ない、みんな相手してあげるよう」
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