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カミラから離れるという事は、もうこれ以上彼女の鞭に頼れなくなる事を意味する。クルスは走りながら、外した十字架を放り投げた。
「クロスアーツ、我に力を」
クレイモアとして主の元へと還ってきた十字架が、二~三体の敵を纏めて薙ぎ払う。返す刃が、さらに敵を斬り落とした。
ふと、自分の足元に矢が飛来し、クルスは真横に跳んで回避する。受け身から起き上がってきた所を狙う兵士の腹部に回し蹴りをぶち込み、再び深部へと通ずる門を見た。あの上から矢を構える、兵士達の姿が映った。
ここでクルスの注目は、この広場をぐるっと囲う回廊へと変わる。回廊には瓦の屋根があり、矢から身を守る傘としては使えそう。屋根の下には回廊と広場を仕切る手摺りのようなものがあるが、さっき蹴飛ばした兵士が背中から一部を壊したらしい。そこから入ってみる事にする。
己の避難を邪魔する者達を次々と斬り払い、クルスは進んで行く。少し離れた所では、カミラが鞭を振るって数多の兵士を弾き飛ばしている。
そして、無数の火矢が襲う中、クルスは屋根の下へと飛び込んだ。
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