クルセイダー

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 気が付いた時には既に、隣にいたはずのクルスは姿を消し、黒天使の佇む屋根の上へと跳躍していた。 「ハハッ。熱いねえ。じゃ、俺もやる事やらなくちゃな。――おい! ここは危ねえから、あっちに避難しな!!」  そんなクルスの様子にアキラは笑むと、司教と協力する形で村人の誘導を開始する。  屋根の上からは既に、黒き羽の舞う激しい剣戟の音色が響き渡っていた。  ◆◆◆  屋根を蹴り、クルスは宙を舞う黒天使へと正義の刃を振り下ろす。  しかし、ここは翼を持つ黒天使の方が有利だった。鋭利な爪の生えた片手で防がれ、間髪入れず反対側の手が襲い掛かる。  クルスは剣を押す力でとんぼ返りをし、その攻撃を避けた。別の屋根に着地する彼の黒衣は、一部がその爪に持って行かれたが、別に何も影響は無い。  そこへ、またもや黒天使の吐き出す火球の群れが襲い掛かった。屋根の上を走り、ある時は飛び越えるクルスの背後で、被弾による爆発が容赦無く迫る。  次の瞬間、火球による空爆が終わったかと思いきや、今度は黒天使自らが腕を振り上げ、クルスの元へと突進してきた。
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